伝統芸能
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レポート:2025年 川上天満宮 春祭りご奉納 〜 川上棒踊り保存会 〜
2025年2月23日(日)
鹿児島市川上町にある川上天満宮で春祭りが開催され、川上棒踊り保存会による棒踊りのご奉納が行われました。
こちらでは当日の川上天満宮の様子をレポートいたします!
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学問の神様として知られる菅原道真公を祀る川上天満宮では、
毎年「二月二十五日」またはその直前の日曜日に春祭りが行われています。
その中で、「川上棒踊り保存会」が毎年奉納するのが「棒踊り」です。
この「棒踊り」は、明治時代に伝承されたとされる伝統的な踊りで、
三尺や六尺の棒、鎌を使った複数の演舞が披露されます。
地元の方々の間では、「この棒踊りがないと春が始まらない」とまで言われるほど、重要な郷土芸能とされています。
また、次世代へ伝えるため、川上棒踊り保存会では、日々子どもたちの育成に力を注いでいます。
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この日の朝は気温5度の寒さにもかかわらず、多くの町の方々が集まりました。甘酒やお汁粉などの温かい飲食物が振る舞われ、みなさん棒踊りの始まりを楽しみに待っていました。
保存会には小学1年生から高校生、そしてベテランの方々まで総勢32名が在籍。世代を超えたメンバーが、月に1〜2回の練習や研修会を通じて活動を続けています。
一日遠足や焼き肉パーティーも企画されてたのしそう!繋がりの深さを感じます。
今回は新しく入会した3人の女の子たちが紹介されました。これからを担う子供たち、なんとも頼もしい限りです。
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入会した3人の女の子たちと有馬会長 みんなの校区、川上小学校の校長先生も一緒にパチリ📸
いよいよ棒踊りのご奉納が始まります。有馬会長の「寒さに負けず頑張ろう!」という力強い激励の声が場内に響きました。
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この日は世代を変えながら「三尺」「六尺」「心棒」、そして「鎌踊り」の順に演舞が披露されました。
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➤演舞の動画はコチラ
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精悍な表情で演舞に臨む中高生たち。 大人の鎌踊りでは女性の姿も。凛々しくてかっこいい!
一つ間違えると危険を伴うため、演者たちの緊張感がひしひしと伝わってきます。
中高生と大人それぞれによる鎌踊りを見比べることができるのも、このお祭りの醍醐味でした。
➤中高生中心の演舞の動画はコチラ
➤大人のみなさんの演舞の動画はコチラ
また、棒踊りの唄は「独特の節まわし」と「抑揚の難しさ」で知られていますが、この日もベテランの皆さんが力強く謡い上げ、
その魅力を存分に伝えていました。現在、この唄の継承者を募集中とのことです!
演舞の後、有馬会長にお話を伺うことができました。
「課題としては小学生が中学・高校に進学すると、塾や部活の影響でなかなか続けられなくなること。
私たちは、演技の上手い下手よりも人と人が教え合い、高め合うコミュニケーションを大切にしていきたいと思っています。」
地域全体で若者を育成する川上棒踊り保存会には、郷中教育の精神が受け継がれていると感じました。
郷土芸能の継承が難しいと言われる中で、川上棒踊り保存会は順調に活動を続けています。
演舞の前後には、子どもたちがお兄さん、お姉さん、大人たちと楽しく触れ合い、衣装を整え合う微笑ましい様子も見られました。
優しいお兄さん・お姉さん、かっこいい大人たちと過ごした楽しい時間や経験は、子どもたちにとって一生の宝物になることでしょう。
皆が大きくなり、それぞれの道に進んだ後も、「みんな元気かな?会いたいな」と故郷へ戻ってくる。
そんな未来の風景が目に浮かぶ、心温まる春のお祭りでした。
*下花棚・春山・川上の3つの保存会の過去の活動のレポートはコチラでもご覧頂けます