伝統芸能
【創立40周年ツアー 鼓童ワン・アース・ツアー2022〜童】平田裕貴さんインタビュー
来週9月19日(月祝)は太鼓芸能集団 鼓童による【創立40周年ツアー 鼓童ワン・アース・ツアー2022〜童】が宝山ホールで開催される。鹿児島での公演はおよそ3年ぶりとなるが、なかでも出演者の中で注目しておきたいのが、枕崎市出身の平田裕貴 (ひらた ゆうき)さん。お話を伺った9月8日(木)は鼓童創立40周年ツアーの真っ最中でありながらも、取材に温かく応えてくれた。Top photo / Takashi Okamoto
宝山ホールで開催される9月19日(月祝)は本ツアーの最終公演であり、平田さんの故郷鹿児島でフィナーレを飾ることになる。
平田さんが28歳にして、太鼓に熱く思いを寄せるのはここ数年で始まった話ではなく、両親が枕崎市で活動する創作太鼓チーム【火の神太鼓】というグループに所属し、太鼓打ちであるということの影響が大きい。鼓童に出会ったのも幼少期に両親とみた映像に始まり、その後、舞台を観た時のインパクトこそ、ドドンと平田さんの人生の幕が開けたような瞬間だったに違いない。
幼少期から現在まで太鼓に触れてきたが、「何にでも興味を持つタイプなので、短大に通っていた頃には教師になる自分を想像したり、照明や音響にも興味があったのでテレビ局で働くこともいいなぁと思っていました」。高校・大学は太鼓をやっているとドラムに誘われ、バンド活動の経験も。それでも二十歳の時にはすでに鼓童の本拠地、佐渡に辿り着いている。
大学時代にバンド活動でドラムを叩く平田さん
2年に及ぶ研修期間を経て、演者として1年の1/3を島で過ごし、あとは国内外のツアーに出るような生活をしていたが、コロナ禍で身動きが取れない厳しさを仲間と経験した。「公演ができない期間があり、公演が徐々に再開し始めると、拍手や声援に改めて喜びを感じるようになりました」。今回のツアーにも特別な思いがあるようだ。
平田さんは更なる挑戦をうたっている。「鼓童はこれまで沢山のアーティストと多くのセッションをしてきた。そういった方々と一緒に次の50周年にむけてアルバムを作りたい」。今年8月、毎年佐渡で開催している野外フェスティバル「アース・セレブレーション」に際し、ギタリストのMIYAVIさんと同じステージにたった。「鼓童は各地の伝統芸能を勉強し、舞台に取り入れていることもあります。演出担当になった時、岩手の伝統芸能の「獅子躍」とMIYAVIさんをかけあわせてみるととても面白かった。いままでやってこなかったことを形にする楽しみが、今の僕の楽しみでもあります」。「セッションによって太鼓ってこういう一面がよかったりするのかと気づけたり、思いもよらない掛け合わせがはまったときの面白さが気持ちいいですね」と終始笑顔の中で、まだまだチャレンジ精神に溢れている様子だった。
photo / Maiko Miyagawa
最後に本公演の魅力について伺った。「鹿児島での公演は鼓童の本拠地「佐渡」や「人」をテーマにした舞台です。音色や響きはもちろん、個々のエネルギーも感じてもらえると思います。鼓童メンバーの中でも個性の強いパフォーマーが揃うのですが、僕もソロ演奏をいたします。ぜひ鹿児島の皆さんにも見てもらいたいです。」
photo / Takashi Okamoto
この機会に鹿児島の皆さんには鼓童の創立40周年ツアーとなる公演へ足を運んで観てほしい。そして、平田さんがおすすめする夏の佐渡へも、ステージで観る佐渡の人「童」を探しに旅を計画してみてはいかがだろうか?
【創立40周年ツアー 鼓童ワン・アース・ツアー2022~童】
イベントチケットの詳細はKCICのHPをチェック。
創立40周年ツアー 鼓童ワン・アース・ツアー2022~童 | かごしま文化情報センター(KCIC)
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平田裕貴 (ひらた ゆうき)
photo / Takashi Okamoto
1994年8月7日生まれ、鹿児島県枕崎市出身。幼い頃より太鼓に親しんで育つ。2015年研修所へ入所。2018年より正式メンバー。歌心ある太鼓が印象的で「鼓(つづみ)」公演のハイライトとなる「大太鼓」では裏面の「裏打ち」として見せ場を力強く支えるなど、多彩な表現をみせる。また笛、鳴り物などでも存在感を示している。近年は、作曲、編曲、音源制作や、鼓童の公式Twitter運営など、舞台演奏以外の活動にも積極的に取り組んでおり、「アース・セレブレーション2022」ではハーバーマーケットライブ「祝祭」の演出を担当した。